伝統技術と手仕事に触れる場

近江上布伝統産業会館は、滋賀県愛荘町・ゆめまちテラスえち内にある、室町時代から続く麻織物の伝統を今に伝える施設です。大正時代に建てられた旧愛知郡役所を保存・改修した建物を利用しており、展示や体験、販売までを一体的に楽しめる拠点となっています。
館内に入ると、まず目に入るのは1階の産地ショップ。ここでは「Omi-Jofu」ブランドとして、ハンカチやふきん、ストール、洋裁生地、麻生地など、麻素材の製品が豊富に並び、草木染めや藍染めのものも手に取ることができます 。天然素材を活かした雑貨や石けんも扱っており、日常に寄り添う麻の魅力を感じられます 。
2階では伝統技術の「柴機(地機)」による手織りの現場が開かれ、職人による実演見学や来訪者自身の体験も可能です。裂き織りマットやネックレス、刺繍ブローチの制作など、初心者でも取り組みやすいメニューが揃っています 。特に、苧麻(ちょま)を繊維から糸へ加工する「苧挽き」「苧績み」といった工程を体験できるコースは全国でも稀少で、貴重な学びの場です 。
また、会館内には昭和初期のシャトル織機(シャトル織機)もあり、ゆっくりとしか織れないその機械で作られる麻織物は独特の風合いを持つ仕上がりになります 。これらの製品はすべて産地の証である伝統証紙付きで販売されており、オンラインショップでも購入可能です 。