全国的にも珍しい古墳の上に立つ神社

御所神社(吹越)は、全国的にも珍しい「前方後方墳」の上に建てられた神社で、その土台となっている「椎ヶ丸古墳」は全長約75メートルを誇る四国最大級の規模を誇ります。神社と古墳が一体となったこの特異な構造は、歴史的・文化的に大変貴重なものとして注目されています。
御所神社の創建は平安時代末期にさかのぼり、当初は「吹越天王社」と称されていました。伝承によると、天禄年間(10世紀後半)、讃岐国宇多津浦から尊像を奉じた高林坊盛尊によって、この地に祀られたとされています。その後、江戸時代の元禄9年(1696年)に現在の地に遷座し、昭和32年には近隣の御所屋敷にあった御所神社を合祀して現在の社名となりました。
御祭神には素戔嗚尊や土御門天皇、国常立尊など多くの神々が祀られており、特に土御門天皇に関しては、近くの奥御所神社が終焉の地とされていることから、御所神社はその本務社としても信仰を集めています。
境内へは表参道から立派な随神門をくぐり、急な石段を登ってアクセスしますが、体力に不安のある方は裏参道から農村公園経由で平坦にたどり着くことも可能です。境内には複数の狛犬が配置され、それぞれ異なる表情や姿勢をしており、訪れる人の目を楽しませてくれます。また、小高い丘の上に位置するため、晴れた日には阿波市の町並みや周囲の山々を一望できる見晴らしの良さも魅力のひとつです。