涅槃釈迦如来を祀る、健脚祈願の寺

四国八十八箇所霊場の第9番札所として知られる法輪寺は、正式には「正覚山 菩提院 法輪寺」と称し、田園風景の中に静かに佇むことから、地元では「田中の法輪さん」とも呼ばれ親しまれています 。

法輪寺の創建は弘仁6年(815年)と伝えられ、弘法大師(空海)がこの地で白蛇を見つけたことから、仏の使いとされる白蛇に因んで釈迦涅槃像を刻み、本尊として安置したとされています 。当初は現在地より北に約4キロ離れた法地ヶ渓に「白蛇山法林寺」として建立されましたが、天正10年(1582年)の戦乱で焼失。その後、正保年間(1644年〜1648年)に現在の地に移転し再興されました 。しかし、安政6年(1859年)に再び火災に見舞われ、鐘楼堂を残して全焼。現在の堂宇は明治時代に再建されたものです 。

本尊の釈迦涅槃像は、四国霊場で唯一の涅槃釈迦如来像であり、頭を北に、顔を西に向けて右脇を下にして横たわる姿が特徴です 。この像は、天正の兵火やその後の火災でも奇跡的に焼失を免れ、現在も大切に祀られています 。以前は5年に一度の開帳でしたが、現在は毎年2月15日に開帳され、多くの参拝者が訪れます 。
法輪寺は健脚祈願の寺としても知られています。かつて松葉杖を使わなければ歩けなかった人が、参拝中に足が軽くなり、杖なしで歩けるようになったという伝説があり、それ以来、多くの草鞋が奉納されるようになりました 。「足腰健康わらじ」は納経所で受け取ることができ、持ち帰ることも可能です 。 境内には、鐘楼門を兼ねた仁王門や、賓頭盧尊者、延命地蔵尊、烏枢沙摩明王などが祀られており、訪れる人々に安らぎと癒しを提供しています 。また、弘法大師の御衣(おころも)という寺宝も所蔵されており、これは明治15年(1882年)に明治天皇から下賜されたものです 。