新緑に映えるサツキの花

観音寺(かんのんじ)は、通称「さつき寺」として地域内外から親しまれている高野山真言宗の古刹です。創建は古く、平安時代初期の延暦年間(782年〜806年)に、桓武天皇の勅願によって創建されたと伝えられています。当時の名称は「光福寺」とされ、熊野地方の精神文化を支える重要な寺院の一つとして栄えました。

観音寺が「さつき寺」と呼ばれるのは、その名の通り、境内の至る所に数えきれないほどのサツキが植えられているためです。本堂へと続く参道や庭園には、約3,000株もの多種多様なサツキが配置され、特に5月下旬から6月上旬頃の開花期には、境内全体が白、ピンク、赤、紫など、色鮮やかな花の絨毯と化します。新緑の深い緑の中に、華やかなサツキの花々が映える景色は圧巻で、訪れる人々の目を楽しませ、多くの写真愛好家を惹きつけます。この時期には「さつき祭り」が開催され、一層賑わいを見せます。

本尊は千手観世音菩薩で、秘仏として大切に祀られています。また、本堂の他にも、境内には歴史を感じさせる建造物が点在し、静かで厳かな雰囲気を醸し出しています。