歴史と風格を今に伝える老舗酒蔵

藤居本家は、天保2年(1831年)創業の歴史ある酒蔵です。近江商人の地で育まれた酒づくりの伝統を受け継ぎ、現在も宮中の新嘗祭(にいなめさい)に供される御神酒を醸す蔵として、その格式と品質の高さに定評があります。

敷地内には、仕込み蔵・釜場・貯蔵庫などが立ち並び、特に大正時代に建てられた「東蔵」は国の登録有形文化財に指定されており、歴史的建築物としても見ごたえがあります。総けやき造りの蔵や、大型の木桶、貯蔵タンクなどが現役で使われており、手仕事と伝統を大切にした酒づくりの現場が今なお息づいています。

酒蔵見学は事前予約制で、年末年始を除き毎日9時から17時まで受け付けています。見学では、鈴鹿山系の伏流水を使った仕込み水の試飲に始まり、実際の仕込みや貯蔵工程の見学、そして日本酒の試飲と購入が楽しめます。蔵内では代表銘柄「旭日(あさひ)」や「琵琶の舞(びわのまい)」を試すことができ、酒の香りや味わいをじっくりと感じながら選ぶことができます。

さらに、敷地内には伝統建築と調和した日本庭園や、ドラマのロケ地としても利用されるほど風格ある大広間があり、見学だけでなく、季節に応じた催しやイベントで訪れる人を迎えています。また、直営の「かくれ蔵 藤居」では、藤居本家の酒とともに地元食材を使った料理が提供されており、酒蔵の雰囲気の中で食と酒の調和を味わうこともできます。