小石原焼の本場を歩く

小石原焼(こいしわらやき)は、福岡県東峰村で約350年にわたって受け継がれてきた伝統的な陶器で、主に日常使いの器として親しまれています。特に「飛び鉋(とびかんな)」や「刷毛目(はけめ)」など、素朴で機能的な装飾が特徴です。江戸時代に肥前(現在の佐賀県・長崎県)から技術が伝わり、地元の土と水を活かして発展してきました。現在も村内には50を超える窯元が点在しており、それぞれが独自の技法とデザインを受け継いでいます。
窯元の各工房を訪れて作品の展示・販売を見学できるだけでなく、ろくろ体験や絵付け体験ができる場所もあります。職人の手仕事を間近で見ることができるのも、産地ならではの魅力です。
毎年春(5月連休)と秋(10月)には「民陶むら祭り」が開催され、多くの窯元が割引販売や限定商品を提供します。この時期には通常は非公開の工房が一般開放されることもあり、多くの来訪者でにぎわいます。
また、小石原焼は1995年に国の伝統的工芸品にも指定されており、質の高さと地域性が評価されています。道の駅や小石原焼伝統産業会館での展示・販売のほか、陶芸体験やイベントも用意されており、初心者でも気軽に焼き物にふれることができます。