潜伏キリシタンの歴史を今に伝える教会

熊本県天草市河浦町にある「崎津教会」は、1934年にフランス人宣教師ハルブ神父によって建てられたカトリック教会で、ゴシック様式の白亜の建物が静かな漁村の中にたたずむ独特の景観で知られています。2018年には「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産の一つとして、ユネスコの世界文化遺産にも登録されました。
この地域は江戸時代、厳しい禁教下にありながらも住民の多くが密かに信仰を守り続けた「潜伏キリシタン」の集落として知られています。現在の教会は、そうした信仰の歴史を今に伝える象徴的な存在です。特に特徴的なのは、教会内部が「畳敷き」であること。これは日本の伝統文化とキリスト教信仰の融合を示すもので、日本でも非常に珍しいスタイルです。
教会の外観は尖塔を持つゴシック様式で、ステンドグラスの窓から柔らかな光が差し込み、内部は静謐な雰囲気に包まれています。教会周辺には、キリシタンの墓碑や「崎津諏訪神社」など、禁教時代の歴史を物語るスポットが点在しており、崎津集落全体が歴史と信仰の舞台として注目されています。