手つかずの自然が織りなす日本三大峡谷の秘境

大杉谷(大杉峡谷)は、日本三大峡谷の一つに数えられ、吉野熊野国立公園内、そしてユネスコエコパークにも登録されている、手つかずの自然が色濃く残る秘境です。エメラルドグリーンの清流・宮川と、太古の森が織りなす壮大な景観は、訪れる人々を圧倒します。

大杉谷の最大の魅力は、長年にわたる水の浸食によって形成された、深く切り立ったV字谷です。谷底を流れる宮川の水は、驚くほど透明度の高いエメラルドグリーンに輝き、その美しさは「奇跡の清流」と称されます。断崖絶壁に沿って続く遊歩道からは、荒々しい岩肌と、豊かに生い茂る原生林が織りなす、ここでしか見られない絶景を間近で体感できます。

また、大杉谷には数多くの滝が点在しており、圧倒的なスケールで迫ります。特に、数段にわたって滝壺が連なる「七ツ釜滝(ななつがまだき)」や、青く深い淵が神秘的な「シシ渕」、勢いよく流れ落ちる「ニコニコ滝」など、それぞれ個性豊かな滝が連続して現れ、その迫力と美しさは見る者を飽きさせません。滝の轟音と、水しぶきが舞う清涼な空気は、五感を刺激し、日常を忘れさせてくれます。

大杉谷の登山道は、吊り橋や鎖場、岩場など、スリルと変化に富んだスリル満点のトレッキングコースとなっています。経験者向けの本格的なロングコース(大杉谷登山口から大台ヶ原まで約15km)から、日帰りでも楽しめる一部区間のコースまで、体力や経験に合わせて選ぶことができます。整備された道とはいえ、自然の中を進む醍醐味を存分に味わえるでしょう。清流のせせらぎや鳥のさえずりに耳を傾けながらのトレッキングは、心身ともにリフレッシュできる特別な体験です。人間活動と生態系の保全を両立する地域としてユネスコエコパークに登録されている大杉谷は、生物多様性の宝庫でもあり、豊かな植生や希少な動植物との出会いも、この地の大きな魅力です。