江戸の面影が残る歴史的景観

「うだつの上がる町並み」は、江戸時代から昭和初期にかけて美濃和紙の商都として栄えた面影を色濃く残す、国の重要伝統的建造物群保存地区です。この町並みの最大の特徴は、防火壁として発達し、富の象徴でもあった「うだつ」が各家々の屋根に高くそびえ立つ景観です。
町家と町家の間に設けられた「うだつ」は、火災の延焼を防ぐ防火壁としての役割だけでなく、裕福な商家が富を誇示するために豪華に装飾したことで、美観も兼ね備えるようになりました。この「うだつ」が続く町並みは、他では見られない独特の美しさを持ち、「うだつが上がる(出世する、良いことがある)」という言葉の語源ともなった歴史を感じさせます。
町並みには、江戸時代から続く商家の面影を残す建物が多数現存しています。特に、美濃市内で最大級の町家である「旧今井家住宅」は、当時の生活様式や建築技術を間近で見学でき、美濃の歴史を深く知る貴重な機会を提供します。他にも、伝統的な格子戸や虫籠窓(むしこまど)など、細部にわたる意匠が往時の繁栄を物語っています。
かつて美濃和紙の流通拠点として栄えたこの町並みには、美濃和紙に関する施設も点在しています。「美濃和紙あかりアート館」では、美濃和紙の柔らかな光を用いた幻想的な作品が展示され、和紙の新たな魅力を発見できます。また、和紙製品を扱うお店も多く、お土産選びも楽しめます。
歴史ある建物を眺めながらのんびりと散策するのに最適なこの場所には、通り沿いにカフェや食事処もあり、休憩しながら地元の味を楽しむこともできます。四季折々の風景と共に、時間を忘れてゆっくりと日本の伝統文化に浸れる「うだつの上がる町並み」は、歴史、文化、そして美しい景観が融合した魅力的な場所です。ぜひ一度訪れて、江戸時代にタイムスリップしたかのような特別な時間をお過ごしください。