神秘的な自然が織りなす静寂の湖

藺牟田池は、周囲約4km、最大水深約3.5mの火山湖です。約1kmの直径を持つ円形の湖は、周囲を愛宕山、舟見山など標高500m前後の山々に囲まれ、静かで神秘的な雰囲気をたたえています。
藺牟田池の最大の特徴は、湖の北西部に広がる湿原と、そこに浮かぶ「浮島」です。これは泥炭と呼ばれる植物の堆積物が形成したもので、暖地で泥炭が形成されるのは非常に珍しく、学術的にも貴重な存在として、大正10年(1921年)に国の天然記念物に指定されました。さらに、2005年にはラムサール条約登録湿地にも登録され、国際的にも重要な湿地として認められています。
湖面には水生植物が茂り、ベッコウトンボなどの貴重な生物も生息しています。冬には多くの水鳥が飛来し、バードウォッチングの名所としても知られています。四季折々の自然の表情を楽しむことができ、春は桜、秋は紅葉が湖畔を彩ります。
藺牟田池周辺は藺牟田池県立自然公園として整備されており、キャンプ場やサイクリングロード、散策路などが整備されています。湖畔でのキャンプやボート遊び、森林浴など、自然を満喫できるアクティビティが豊富です。祁答院生態系保存資料施設「アクアイム」では、藺牟田池の生態系について学ぶことができます。