薩摩国の一の宮

新田神社は、神亀山という亀の形をした小高い山の上鎮座する由緒正しき神社です。薩摩国の一之宮として古くから崇敬を集めており、その歴史は平安前期(704〜930頃)にまでさかのぼるといわれています。

主祭神は、天津日高彦火瓊瓊杵尊(あまつひこひこほのににぎのみこと)、天照皇大御神(あまてらすおおみかみ)、正哉吾勝勝速日天忍穂耳尊(まさやあかつかちはやひあめのおしほみみのみこと)の三柱です。特に、瓊瓊杵尊は、天孫降臨の際に高天原から降り立った神として知られ、この地で崩御されたとされています。神社の裏山にある可愛山陵(えのみささぎ)は、瓊瓊杵尊の御陵として宮内庁によって治定されています。

境内は、神聖な空気に満ち溢れており、参道を進むにつれて心が洗われるような感覚を覚えます。322段の石段を登った先には、荘厳な社殿が佇んでいます。境内には、樹齢650年以上ともいわれる御神木の楠があり、その力強い姿は訪れる人々を魅了します。

新田神社の見どころの一つは、毎年6月に行われる御田植祭で奉納される棒踊り、奴踊りです。これらは県の無形民俗文化財に指定されており、地域の伝統文化を今に伝える貴重なものです。また、春には表参道の桜並木が美しく咲き誇り、多くの人々で賑わいます。