白砂青松の絶景

福岡県岡垣町から芦屋町にかけての響灘沿岸に広がる三里松原は、約12kmに及ぶ広大な松林です。「日本の白砂青松100選」にも選ばれたその景観は、白い砂浜と青々とした松のコントラストが美しく、訪れる人々を魅了します。この砂浜は、絶滅危惧種であるアカウミガメの産卵地としても知られており、岡垣町は「海がめもかえる町」をキャッチフレーズとしています。

三里松原の歴史は古く、江戸時代初期から始まりました。響灘からの強風や飛砂、塩害から農地や集落を守る防風林として、黒田藩によって植林が奨励されたことが起源とされています。その後も地域住民による植林や保護活動が続けられ、現在の美しい松原が形成されました。その名称は、約三里(約12km)の長さに由来しています。古くは「岡の松原」「垣崎松原」とも呼ばれていました。

三里松原はクロマツを主体とする松林で、海岸線に沿って帯状に広がっています。松林と砂浜が織りなす風景は、四季折々の表情を見せます。夏は海水浴客で賑わい、秋は紅葉、冬は雪景色と、一年を通して自然の美しさを堪能できます。特に夕日の時間帯は、夕日に照らされた松林が幻想的な雰囲気を醸し出し、絶景です。

アカウミガメは、本来暖かい海に生息し、主に本州以南の太平洋岸で繁殖します。九州では宮崎県や鹿児島県が主な産卵地として知られていますが、黒潮の流れに乗って三里松原にもたどり着きます。ただし、毎年必ず産卵に訪れるわけではなく、海流や砂浜の状態など、様々な要因によって左右されます。近年では、豪雨災害などの影響もあり、以前ほど頻繁には確認されていませんが、岡垣町ではアカウミガメがいつでも帰ってこられるように、環境保全活動に取り組んでいます。