古墳公園として整備保存されている古墳

沖出古墳は、4世紀末頃に築造されたとされる前方後円墳です。遠賀川に向かって延びる丘陵の先端部分に位置し、全長約68m、後円部径約40m、前方部幅約26mという規模を誇ります。1997年には福岡県の史跡に指定され、歴史的価値の高い古墳として知られています。
沖出古墳の特徴は、その構造と出土品にあります。墳丘は前方部が2段、後円部が3段に築成され、斜面には葺石が施されています。墳丘上には壺形、円筒、朝顔形、家形など多様な埴輪が立てられており、中には船の絵が線刻された珍しい埴輪も発見されています。これらの埴輪は、当時の祭祀や生活様式を伝える貴重な資料となっています。
埋葬施設は後円部中央に構築された竪穴式石室で、内部には割竹形石棺が納められていました。盗掘により一部荒らされていたものの、石製の腕飾り類(鍬形石、車輪石、石釧)や玉類、鉄製品などが出土しました。特に、鍬形石、車輪石、石釧の3種がセットで確認されたのは九州地方では唯一であり、注目を集めています。これらの出土品は、当時の権力者層の装身具や副葬品と考えられ、当時の社会構造や文化を知る上で重要な手がかりとなっています。
現在は古墳公園として整備されており、当時の様子を偲ぶことができます。墳丘の形状や埴輪の配置などが復元され、古代文化に興味のある方にとって、見逃せないスポットとなっています。