自然が創り出した巨大な足跡伝説

壱岐島の南西端に位置する鬼の足跡は、雄大な玄武岩の海岸線が広がる牧崎公園(まきざきこうえん)内にあります。ここは、その名の通り、まるで巨大な鬼が踏みつけたかのような、直径約50メートル、深さ6メートルもの巨大な穴が複数開いた奇岩群で、壱岐のダイナミックな自然の造形美を象徴する場所として知られています。

この「鬼の足跡」にまつわる伝説は、昔々、壱岐に住んでいた鬼が、沖合にいた鯨を踏みつけようとした際にできた足跡だと言い伝えられています。実際には、長い年月をかけて海の波や風雨による浸食作用が、もろい岩盤部分を削り取り、硬い部分が残されたことで、このような独特の窪みが形成されたと考えられています。

特に、遊歩道から見下ろす巨大な穴は、地球の息吹を感じさせるような壮大さがあります。干潮時には、穴の底まで降りて、間近でその岩肌や水たまりを観察することも可能です(安全には十分注意してください)。

周辺の牧崎公園は、玄武岩の断崖が続く荒々しい海岸線が広がり、展望台からは美しい玄界灘のパノラマビューを楽しめます。潮風を感じながら、奇岩が織りなす独特の景観をゆっくりと散策するのもおすすめです。