武道の神を祀る東国随一の古社

鹿島神宮は、鹿嶋市に鎮座する元前660年創建と伝えられる全国に約600社ある鹿島神社の総本宮です。香取神宮(千葉県)、息栖神社(茨城県)とともに「東国三社」の一つにも数えられ、古くから武道の神様として崇敬を集めてきました。
鹿島神宮の境内は東京ドーム約15個分の広大な森に包まれ、その神聖な雰囲気は訪れる人々を厳かな気持ちにさせます。特に目を引くのは、鮮やかな朱色に塗られた巨大な楼門です。これは九州の阿蘇神社、そして鹿児島の霧島神宮の楼門と並び「日本三大楼門」の一つに数えられ、その迫力に圧倒されます。
また、国の重要文化財に指定されている本殿、拝殿、奥宮などの社殿は、それぞれ異なる時代に再建されており、日本の建築様式の変遷を感じることができます。中でも奥宮は、徳川家康が関ヶ原の戦いの戦勝祈願として奉納した本殿を移築したものと伝えられています。
境内には、地震を引き起こす大鯰(おおなまず)を抑えていると信じられている巨大な石、「要石(かなめいし)」があります。水戸黄門で知られる徳川光圀が、その全貌を確かめるべく掘らせたものの、いくら掘っても根が見えなかったという逸話も残されています。
さらに、一日に40万リットルもの湧水がある「御手洗池(みたらしのいけ)」は、透き通った水面に周囲の木々が映り込み、神秘的な景観を作り出しています。かつては参拝者が身を清めた場所とされ、現在でも池の奥には禊場があります。神の使いとされる鹿が飼育されている「鹿園(ろくえん)」もぜひ訪れたい場所です。奈良の春日大社へ鹿島神宮の鹿が送られたのが始まりとされています。