港町の歴史と伝統を今に伝える古社

放生津八幡宮は、奈良時代の天平18年(746年)、越中国守であった大伴家持が九州・宇佐八幡宮の分霊を勧請して創建したと伝えられる由緒ある神社です。主祭神に応神天皇、配祀に仁徳天皇を祀り、武家政権の時代には源頼朝や足利義満、加賀藩前田家など、歴代の権力者からも篤く信仰されてきました。

神社は「日本のベニス」とも称される新湊の水辺に面しており、静かな参道や歴史を感じさせる狛犬、美しい境内のたたずまいが訪れる人々を魅了します。また、境内には大伴家持が詠んだ万葉歌の歌碑や、松尾芭蕉の句碑も設置されており、文学や歴史に親しむことができるのも魅力のひとつです。

毎年10月1日から3日にかけては秋季例大祭が開催され、射水市最大の伝統行事「新湊曳山まつり」が行われます。この祭りでは13基の曳山(山車)が町中を練り歩き、昼には華やかな装飾の「花山」、夜には無数の提灯が灯る「提灯山」として、幻想的な光景を生み出します。曳山囃子の掛け声「イヤサー!」が町に響き渡り、見物客を熱気で包み込みます。

さらに、10月2日には神霊を迎える「築山行事」が行われます。これは仮設の築山に神を招くという全国的にも珍しい神事で、海上からの神迎えを象徴する霊験あらたかな儀式です。

神社は通年で境内が開放されており、入場料や駐車料金は無料です。高岡駅や万葉線・東新湊駅からもアクセスしやすく、日常の散策や参拝にも適したスポットとなっています。