江州音頭発祥の地

千樹寺は、平安時代にその歴史を遡る、静寂に包まれた古刹です。その名の通り、かつて多くの樹木が生い茂っていたという境内は、今もなお、樹齢を重ねた杉や檜などの木々が荘厳な雰囲気を醸し出しています。木漏れ日が優しく差し込む参道を歩むと、日常の喧騒から離れ、心身が清められるような安らかな感覚に包まれます。
質素ながらも深い趣を持つ本堂は、長い年月を経て大切に守り伝えられてきました。静かに手を合わせれば、悠久の時を超えてこの地に息づく祈りの力が感じられるでしょう。境内には、本堂の他にもひっそりと佇むお堂や、苔むした石仏などが点在し、それぞれがこの寺の長い歴史を静かに物語っています。
また、滋賀県を代表する民謡「江州音頭」の発祥の地であるとことで有名です。境内に残る古い記録によれば、室町時代後期、この寺の僧侶たちが念仏を唱える際に、節をつけて歌ったのが江州音頭の起源とされています。
春には鮮やかな新緑が、秋には深まる紅葉が境内を彩り、訪れる人々の目を楽しませます。特に、静寂の中で聞こえる鳥のさえずりや、そよ風が木々の葉を揺らす音は、都会の喧騒で疲れた心を優しく癒してくれるでしょう。