取手の総鎮守
茨城県取手八坂神社は、旧取手市内に於ける、上町、仲町、片町の鎮守であり、三ヶ町の「産土神(うぶすながみ)」として「牛頭天王社(こずてんのうしゃ)」として親しまれてきました。
創建は寛永3年(1626)、御祭神は素戔嗚尊(スサノオノミコト)をお祀りいたしております。
拝殿は、天保3年(1832)壬辰(みずのえたつ)6月吉日の建立で、拝殿の廻り廊下の角金具にはっきりと刻まれています。
6月吉日と完成の日付があるのは当時の例大祭は6月であったため、大祭に間に合うように完成を急いだであろうことが想像できます。
現在の本殿(取手市指定有形文化財)は明治36年(1903)に再建されたもので一間社流造、建物全体に精巧な彫刻が施されています。
この彫刻は明治39年(1906)に建てられ、後藤縫殿之助(ごとうぬいのすけ)・保之助(やのすけ、後藤縫殿之助の二男)親子の作の刻明がありますが、縫殿之助は明治34年(1901)になくなっており、保之助は兄の後藤桂林(ごとうけいりん)を頼り、寺田松五郎(てらだまつごろう)、高石伊八郎(たけしいはろう)らと共に完成させました。
向拝の龍の彫刻の裏には「寺田松五郎」、本殿仮壁には「後藤桂林」の名が刻まれています。
この本殿は、明治期にできたとは思えぬほど古格の高い立派な建築物です。