歴史を伝える名機、平和への思いを馳せる場所

久良湾(くらわん)を望む高台に位置する紫電改展示館は、太平洋戦争末期に旧日本海軍の最後の切り札として開発された局地戦闘機「紫電改(しでんかい)」の実物大模型を展示する施設です。この展示館は、単に戦闘機を展示するだけでなく、戦争の悲惨さと平和の尊さを伝える重要な役割を担っています。
この展示館の最も大きな特徴は、昭和59年(1984年)に実際に愛南町の久良湾沖から引き揚げられた本物の「紫電改」が展示されていることです。これは、現存する数少ない紫電改のうちの一機であり、機体に残された生々しい痕跡からは、当時の激しい戦闘や、搭乗員の思いが伝わってくるようです。海中で長い年月を過ごしたとは思えないほど保存状態が良く、その姿は訪れる人々に強い印象を与えます。
展示館では、紫電改の機体を中心に、開発の経緯、当時のパイロットたちの証言、太平洋戦争末期の状況など、豊富な資料やパネルを通して詳しく解説されています。紫電改がどのような目的で開発され、どのような役割を担ったのか、そしてその背景にあった時代とはどのようなものだったのかを深く学ぶことができます。